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蒼い星と見つめる顔

水無飛沫(投稿日:2003/01/08)

神話の時代から輝く夜空を
少女の輝く瞳は見つめていた
その唇は堅く閉じられ
その手はきつく結ばれて

少女の隣には誰も座ってはいなかったが
その空間を『誰か』が占めていた
寒さのために夜空と同じ蒼ざめた顔をした少女は
来ぬ人を嘆いているようでもあったが
来ぬ人に安堵しているようでもあった

僅かに天空に残る月の瞳が
少女の震える肩を見守っていた
彼女が暖かい家に帰るまで
月はその瞳を閉じることはないであろう

やがて夜風が少女の周りで舞い始めると
少女の口からは溜息と共に呟きが漏れる
夜風はきっと頼まれた伝言を伝えるであろう

私は少女の許へと歩み寄る
少女は驚きに満ちた瞳で私を見つめる
少女の隣に座ると彼女は身体を少しだけ私に預けて
 − 寒かったのよ − と囁きを漏らす
夜空に輝く天体が私と少女の明かりだった

夜風が再び2人を取り囲むように舞い
溜息と呟きが囁かれる
 − ずっと、待っているから −