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若かりしおまえ、おまえの顔、悪かったな

なかむらきみのすけ(投稿日:2003/02/15)

馬鹿なことはやめて、こっちを向けよ。
どれだけ鏡をみたって、おまえの顔なのだから。
おまえの顔。
俺のほうが知っているさ。
小さい目を大きいと思っていることも、
顔の半分にほくろがたくさんあって、
口がへの字にまがっていることも。
顎が痛くて口がうまく開かないことも。
物をかむたびに、パキって音がして、
こっちが身震いするのさ。
おまえの薄い眉毛は、
化粧でごまかして、幸運を呼ぶっていう眉を
せっせと書いている。
おまえ、
肌は、年をとったな。
素晴らしくきれいだったおまえのみずみずしい頬、
つやつやと光っていた指先。
おまえが動くたびに、俺は、感謝したさ、
おまえみたいな女が、俺に優しくしてくれることを。
今のそのうつろな目。
在りし日をなつかしむことも無くなった。
哀れなおまえ。
哀れな若かりしおまえ。

でも、おまえ。
鏡は覗いてるんだな。
毎日の日課のように。

それが俺のなぐさめ。