トップ詩全集 / Life is a Flower.

彼女も同じ

なかむらきみのすけ(投稿日:2003/02/15)

「彼女も同じ」

彼女はなんでも知っている。
唇から滲み出た幸福。
澄んだ美しさが、過去を隠す。
これからも、まだ変わりつづけるだろう。
彼女には、嘘が無くなった。
一つの問いを、投げかける。
私に適当な、
私が望んでいた答えを、
彼女は持っている。
それは安堵感へと変わり、
また現実に引き戻される。

もう一人の女は知り尽くしたと言い、
無邪気に経験を語らう。
一つを聞いて、
私を崖まで追い詰める。
その女からは、真実が語られる。
簡単なことだと問い掛ける。
天使になった子供達。
欲の無い強欲。
負けて勝つ、極上の微笑。

年老いた女は、自分を問い正し続け、
最後には全てを失った。
年老いることと、失うこと。
誰か来て二人を救おう。
しまいに、私は押しつぶされる。
涙のあとに皺が出来、今では勲章に。
美しい面影に、困惑とまやかし。
誰も近づけない窪み。
深い深い傷。

最後の女は、自分を信じた。
それを糧に、地獄の時間を重ねる。凡人の付き添い。
西からの贈り物。
彼女の先にあるものを、
私だけは知っている。
達成感と、空虚感。
そこに行っても終われない時間。
一時の幸福に包まれる人々。
夢見るのは、意識が遠のく寸前。
愛に包まれる、夢の時間。

私はどうだろう。
なつかしい生まれた場所の殻。
どこに隠そうと無駄なこと。
現実から逃避。
私の中に答えはある。
そこを逃げる。
答えを、人に、聞く羽目になる。

彼女達は、多くの襞をもつ。
明日が戦いの日なら、
昨日も私は戦っていただろう。
少なくとも、
彼女達のように。
彼女も同じ。