トップ詩全集 / Life is a Flower.

聖夜

(投稿日:2003/12/03)

冷気をまとって
銀に凍てつく 樹氷の森
夜の蒼さと星が瞬く音
月のひかりのふるえる気配


すべてが眠りにつく
この森で
足跡ふかく往くのは
わたしの影だけ


凍えるゆびさきでは
明日を描けない

よこたわり 目をとじて
僅かにのこる体温を
雪に与えれば
ときおり響く シルフィードの声



もう なにも 想い起させないで





わたしのまわりで
いくつかの魂が祈りを歌い
羽を降らせる

ひとつの魂が
門をさし示す

闇のなかのひかり
ひかりのなかの闇
おわりのない はじまりのない
幾重にも 幾重にも 重なりあう

そのなかに




記憶の海の底で
ちいさな泡がはじける

眠りかけていた 血が
ひとつの音になり
めぐり流れる


ふたたび歩きはじめる
わたしに
いちまいの羽のぬくもりが


てのひらに

のこる