瞳から貴方は消えない
かえで(投稿日:2004/01/20)
−I、雨音の獣−
オレ達はいつもの道でプロレスごっこ
道端でパンチ キック
それがたまらなく彼女は
大好きで
大好きで
まとわりつく子猫のように
いや獲物を見つけた獣のように
オレのこと睨むんだ
彼女との生活がさらっと風に飛ばされて
彼女の正体についてを
やっと考える隙間が出来たあの日 雨
ぽつりぽつり歩いてみたら
彼女との道端で
君がオレに食らいつくように吠えた
やっと会えた
涙は雨に騙された
−II、君との散歩道−
あの日の帰り道
下見て貴方の隣を歩いた
とぼとぼ
ぺたぺた
大切な部分が貴方がいても何も消えてくれなくて
この日を最後に貴方の前から消えようと思った
手を握ってこのまま抱きしめてくれるのなら
「一緒に消えて」
ときっと言えた
だけど
手の温もりはこの手にしか伝わらなくて
その場でちょっと笑ってみせた
−III、逃亡−
君とはじめて恋人になったあの日から
僕等の眼は魚の眼に変わった
「好きだよ」を力いっぱい伝えても伝わる訳がなく
気付けば僕の愛は走って逃げた
好きは朽ちて最後まで言葉は形になることはなかった
眼が人間にも戻った頃
彼女は海に行ったという
そして僕は消えていった
−IV、覚醒−
貴方の真似してなれない煙草をふかしていると
むせて
むせて
涙がこぼれた
消えた貴方の必需品は何故ここに
このまま私がこれを全部吸い終わったら
ニコチンとタールは私に何を与えてくれるのかしら
いっそカフェインで飲み込んでしまおうか
−V、刹那 決意−
私が貴方に依存したきっかけ
それは貴方の母が望んだこと
この地で貴方と共に歩むこと
いつまでもいつまでも
私は貴方から消えることはありませんよと
貴方の隣で愛を注ぎますよと
そんな夢に誓ったある日
そろそろ貴方が私の存在が当たり前になり
なんだか居て当たり前と雰囲気が語ってきました
私はそろそろ消えなくてはならない
貴方は私を恨んでください
母さんを想う気持ちを私の時間に向けてくれるなら
それで私の夢は終わりです
強くつよく生きて
貴方のことは忘れたりなんてしないから