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宵闇の唄

紫陽花(投稿日:2004/03/09)

あたしは、宵闇の唄を聴く
吐き出した二酸化炭素を、もう一度吸い込む
息を潜めて、ことの一部始終を見守っている寝具たち
まだ乾ききっていない髪を撫でる大きな手
柔らかい腹の肉の上を這っていく顎鬚の感触

いつからかあたしに第三の目が開眼して
大きく見開いて常闇の向こうを見つめている

悲しみよりも鬱に近く
愛よりもきっと、支配に近い
遠くで手薬煉を引いている、温かい肉隗

拒絶を妥協を繰り返しながら、あたしは飲まれていく
そしてほんの少しだけ涙を流す
ナメクジが這った跡のようには、痕跡は残らないけれど