無駄に留まれる時間もないから
たとえどんなにゆっくりでも歩み続ける
その瞬間がどんなに短く、儚くても
“夢”が足を動かす“意思”の源に!
月下美人
徒然に夢を抱いて来た少年時代
今、思えば「儚い…」、と感じつつ
あの頃はそれだけを考えていた
夜空には満月
たとえ「所詮、夢…」と呟きながらも
満月のごとく輝いていた
『平凡』という名の闇の中で
何よりも目立つ月の様に
─いつから? 何を? 何のために?─
一筋の閃光から目を逸らし
憧れだけを求めていたのだろう?
いつか姿を現す暁を待って
何気なく流れるのは─
『惰性』と呼ばれる諦めと
それを言い訳する『卑屈さ』
人生が一日に例えられるなら
夜はまだ、久しく続く
その唯一の希望の灯火は
煌々と輝きを保って見守る満月
『夢』、それは月下美人のように
届かない月に替わって
その美しき花を見守る想い
あまりに容易く、短い一瞬を
これから来る朝(あした)に繋げるが如く
『夢』、それは月下美人のように
美しすぎるが故に短いその瞬間の『激情』
人間はその美しくも儚い一瞬を
この瞳で見守るために起きている