詩集:Dark Side / Life is a Flower.

今年の北風は身に染みる
「昔は─」なんて言うようになったのは
きっと齢を重ねすぎた証


何もかも失って、今年の冬は

他人の喧騒までが─痛い─

北風

「北風が冷たい…」
今年もそんな季節が来たのか、と
年末で活気づく商店街を
ただ独り、傍らで眺めて─思う─

「独りこの荒波に放たれて─
 この北風はただ、心をも凍らせるだけ…、なのに」

不景気って言ってるのに
みんな、なるべく忘れてられるように
せめてこの年末くらいはって騒いでる
皮肉屋は「カラ元気」って自嘲してるけど
とても入れない

凍りついた心は─もう─
何にも動じやしない

「もうおしまいだ」って
流行語にもなりそうな今年の決まり文句
それでも─たとえ表向きでも─
笑ってられるのは
きっと一つは信じてられるものがあるから?

活気づいた街並みを眺めると
いろんな人たちと接した昔が痛く甦る
─昔は…、僕だって─
そう、心は熱くなるのに
─熱くなるのに─北風の冷たさに

─打ち勝てない─

人波から逃げるように寂びれた公園へ足を向け
誰もいない風景に少し、落ち着く
何もない、手入れもされてない荒地のような公園
僕はただ、何気なく空を見上げる

─何もないのに空だけは蒼かった─


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