詩集:Dark Side / Life is a Flower.

どれだけ彷徨ったか分からない
いつしか辿り着いた名も知らぬ商店街は
この寂れた雰囲気が、何かを共有できる気がして

なのに遠い昔に忘れてしまった筈のものを
強く、鮮明に思い出させる

本当に欲しいもの

どんよりと曇った空が
憂鬱な僕の気持ちを代弁してくれる
降りそうで降らない雨は
単に強がっているみたいでうっとうしい

何を見失ってこんな所に辿り着いた?
誰一人歩いてない寂びれた商店街は
自営業と思しき親父のあくびだけを飾り
あまりに不気味で不自然だった

「こんな所に何もない─」
そう呟いて、再び歩き始めてまもなく
自分がこんな所を彷徨う理由を悟った
─ほんの…、少しだけ─

現実から逃れるように求めた街
初めてこの場所に着いた時
何一つ聴こえない静寂が新鮮だった
惹かれるように訪れて、やっと今
どれだけ自分が寂しい人間か気づいた
─ほんの…、少しだけ─

どんよりと曇った空は
この街だからこそかもしれない
あまりにも似過ぎた雰囲気が
少しだけ心の傷を共有してくれると
そう感じてここにまた訪れたのだろう

なのに今、─やっと─
はっきりと分かってしまった

本当に欲しいのは
心の奥に焼き付いた『アオイソラ』


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