私はあなたに朝 を届ける
北風が吹きぬける街角で
黄昏のセピア色がすべてを包むこの瞬間
私はあなたとすれ違ったの
私だけが振り返った
私の過去を背負ったあなたの姿を追って
あなたは振り返らなかった
あなたは『
─私だけが振り返った─
冬の黄昏は一瞬
すぐに闇夜がこの街を覆う
ネオン・サインで再び活気を取り戻すこの街に
あなたはもう、いないから
私も『
あの
私だけが振り返った
過去のあなたじゃないことはわかってたけど
憧れ続けた姿のままだったから
遠く昔の思いが切なく輝いて─そう見えた
あの瞬間─
あなたは振り返らなかった
あなたはきっと、思い出さえ忘れてる
憧れ続けた姿のままだったのは
あなたが…
その寂しさを一身に背負ったままだから
ネオン・サインが消えると街は漆黒の闇に落ちる
白い息を吐いて、誰もいなくなった街を彷徨う
それは─けっして─感傷ではなく
私なりの
そして私は誓う
─地平線に消えていく月に─
─これから昇りゆく朝陽に─
私はあなたに、朝を届ける