末っ子
私には姉が二人いる
一番上はホントしっかりしてて
失敗してみせて笑ってばっかりで
でも実は
この姉にできないことがないのを
家族みんなが知っていた
「他の誰にもできるんだよ」
暗にそう囁くようにいつも微笑んだ
二番目の姉ははぐれもので
体当たりでぶつかることでしか
思いを伝えられない人だった
一番上の姉がそっと後ろで
いつも見守っていたのを知っている
不器用だけど
一番まっすぐな思いを持っている
私はいつもぼぉっとしている
私に出番は回ってこないもの
だから何にもできないし
だから何にも知らない
けれど一番上の姉が
「爪を隠してるのはアンタかもね」
そう笑ってたのを記憶してる
この台詞によく嫉妬したものだ