さくら 咲く
ママに手を引かれて歩いた道を いつも1人で帰ってきた
自分の机に乗ってた 私のための教科書
私だけのものだから 穴が空くほど読んで 慈しんであげた
さんすうとか こくごとか おんがくとか
さくら 散る
ひとりぼっちで歩いた道
さんすうも こくごも おんがくも ママも助けてくれなかった
読み返した教科書も わたしを助けてくれなかった
先生 どうして教科書に お友達に嫌われない方法を書いてくれなかったの?
桜って何?
愛し方を教えてくれたの ママじゃなかった
教科書でも 先生でも 勉強でもなかった
たったひとりの 小さな生き物だった
桜 かおる
ママ 聞いてちょうだい
好きな人が出来ました
だけどもう ママには尋ねない
愛した人の 忘れ方なんて 尋ねたりしない
さくら さくら
桜 ひらひら
ママ 聞いてちょうだい
春かと思うといつの間にか咲いて
砂のすべて落ちてしまった砂時計
足元は時間きっかりに崩れていって
否応なく夢想から目醒めるの
あっけなく散る 桜のよう
舞い上がる桜吹雪の向こう
ひっくり返して置かれた砂時計
全部砂の中に埋まってく
もがいても口にまで入り込む砂
噛み締めて
この木、なんの木?
都会っ子には花が咲いていないと
桜の木なんて分からないよ
Refrain.
Refrain.
春かと思うといつの間にか咲いて
Refrain.
それでも
仄かに香る春を感じて夢を漂うの
Refrain
闇の中にひらひら、空から舞う物なぁに?
硝子で出来てる砂時計の中から逃げ出した砂とか。
やっぱり散ってく桜とか?
いいえ、これは冷たいの。
雪ね。雪ね。
神様が下さったのね。
でもね神様、どうしてかしら。
桜の樹を支える、砂のやってきた大地より、
雪の方がきらきら匂うでしょう?
それにしても、上手く出来ているわね、雪って。
水は凍っても、氷にしかならないのではない?
上手く化けたものね。
真っ白で、純真で、
その笑顔になら、
騙されてもかまわないというほどに。
私って馬鹿ね。こうやって騙されていくの。
けれどね、嘘に慣れたくはないから、見破ったりしたくないから、
私はこうして真っ白に、桜や砂や、雪に埋もれていたいの。
いいでしょう?
雪化け
すべてが真実なんかで語られたら
何もかもが退屈すぎて
私は多分、生きてはいけない
すべてが真実なんかで作られたら
何もかもに傷ついてばかりで
私は多分、生きてはいけない
私は虚構の狭間で漂うように
幻なんかでいいのなら
夢なんかでいいのなら
夢中にしてくれる魅惑の日々を
あなたにも分けてあげる
Lies
雪と一緒に溶けてください
いつか崩れていく私の幻影達
私はただ 幸せになりたかっただけ
どんな嘘偽りの原点もそこにあるの
真っ白に覆い隠して
一緒に連れて行ってください
貴方の笑顔で幸せになりたくて
聖夜の枕下に大きな嘘を置いたりもした
ずっとサンタクロースになりたかったの
笑顔を作り出す嘘は素敵
真実を知って泣いた日を忘れたわけではないけれど・・・
もっと早く許してあげればよかったね
綺麗な夜の優しい嘘を
そうしたらきっと私達 笑顔で向かい合えた
いつか崩れていく私の幻影達
どんな嘘偽りの原点もそこにあるの
だけど心がずきんってするから
誰か 早く見つけ出して
雪と一緒に消えてほしいの
だけどちょっとだけ
私の嘘を怒って 仕方ないなって笑ってほしいの
それはあまりに矛盾なので
到底 叶えない祈り
叶えない祈り
痛さを伴って刺さったまま残ってる
小さな小さな棘一本
この棘を最初に手にしたのは私
だけど
本当に手にしたかったのは
ささやかな日常の繰り返し
それにちょっとしたアクセントだけ
だった
本当に
崩れていったね
あまりに何度も訪れた毎日に
“永遠”なんて御伽噺に耽ってた
届かない祈り
手を合わせて一心に
それでも閉ざされた扉は
もう二度と開かない
それでもずっと大空に
祈り、
願い、
赦しを
求め続ける
手にできなかった“永遠”のかわり