麗らかな 春の日に 壮麗な雪渓を 僕は一人 悲しい
ちらちら 立ち上る 仄かな陽炎の 君と二人 錯覚
陽炎稲妻水の月の 君を見て 僕は時雨心地
桜の木の枝葉から 淡紅色の 木洩れ日差す
桜月の風景を僕は また一つ 涙で濡らした
僕の失くした全てを 奏でて欲しい 風に乗せて
消せない透明な傷を 癒して欲しい 重ねた唇で
期限ある太陽の下で 刹那の瞬間が 枯れていく
霞の衣を纏った季節 残酷だね 大切な物奪って 微笑んで
微かな期待抱かせる 儚い夢を 水滴に映しては 偶像を産む
僕の失くした全てを 奏でて欲しい 風に乗せて
消せない透明な傷を 癒して欲しい 重ねた唇で
期限ある太陽の下で 刹那の瞬間が 枯れていく
硝子細工の心で 片翼のまま また一つ 季節は巡り
また一つ 夢を見た...
春の旋律
まひちらむ桜花のさかへいとはやく
めぐりし夢ぞともにめぐらむ
かすれゆく夢もまぼろしはかなけれ
ほのかにかげるおもひなれこそ
たまのをのとぎれしおもひ夢のあと
ちりししずくもまたあはれなり
ねがいつつゆるりとめぐる晩春の
夢にもふらむ穀雨のしずく
春の雨しぐれしおもひやまずとも
せめて刹那の夢をあたへむ
ひとの夢もまたあはれなれば