この軟組織異常によって舌の運動は損なわれる。
 これらの症例において、舌は低位にあるため、機能の低下によって舌突出癖が起こりやすくなっている。

舌癒着症(舌小帯短縮症)について

  1. 舌小帯付着異常は遺伝的な要因も強いため、矯正治療を行うにあたっては家族の舌小帯付着状態の審査や問診が必要である。

  2. 舌が口底に癒着するような完全な舌癒着症(舌強直症)はまれであるが、軽度のものは比較的多く、学童の約18パーセントに見られる。

  3. 舌小帯が短いため、(写真参照)舌の前方の突出や後退が制限され、無理に舌を前に出そうとすると舌の突端が中央で陥没し、ハート形を呈する。


  4. 舌突出癖とはどのようなことを指すのかは、目次1の被告の治療の概要4を参照してください。

  5. 障害として咀嚼障害、嚥下障害、発音障害(舌足らずの言葉)が見られ、特にラ行、タ行、サ行に現れる。母親は案外舌足らずな発音、発音障害、代償性の発音(正しい発音ができるように舌を前方に突出させ、歯と舌で発音する)などに気付かずに幼児語が残っていると考えていることも多い。また正しい発音を行うように充分代償していることもあるとされています。(目次2の舌小帯短縮症と下顎前突症との因果関係(13)を参照してください)

  6. 軽度のものは舌下面の小帯をはさみで横に切り離すだけで済むこともあるが、通常は下記の様に舌小帯切除術(延長術)が行われます。
    手術は一般に局所麻酔で行われるが、5歳以下の子供の場合には全身麻酔が望まれる。子供の言語発育の面から言葉を覚える段階での舌小帯の切除を考えると小学校就学前が望ましい。



  7. 切除術を行う場合、ただ単に切除するのではなく、術前、術後に舌を挙上する訓練の指導を行わないと舌小帯切除後の瘢痕治癒、舌を挙上する力、発音等に良い影響が現れないことが多いとされています。
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