苦しめる考え方

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物事の考え方で自分自身を苦しめてしまう場合があります、あなたの考え方は大丈夫ですか?

  私が所属する断酒会では、断酒の節目に記念品が贈られます。私は断酒5年の記念に、メンタルヘルス系の本を頂戴いたしました。その一冊が「こころのセルフ診療室(出版:創元社,著者:マーサ・デービス他,監修:高橋宏)」です。この本を読み進めるうちに、断酒して回復の道を歩む間に、様々な方から教えていただいた考え方とよく似たものが整理されて、記載されているのに気付きました。「まちがった考え方」として記載されているものです。
  この考え方には、自分で自分を苦しめてしまうものとして、私も少しずつ改めようとしてきたものが含まれています。せっかく断酒の記念にと戴いたもの。アル症の方やそのご家族の方に、少しでも参考になればと、アル症に焦点を当てて、自分の言葉に置き換えました。私の理解が間違っていることもあるかと思いますが、役立つものを取り入れていただけることを願ってアップいたします。

平成15年11月23日

考え方の傾向を知るため、自己診断テストを作りました。お試し下さい。


1)人間にとって、家族や友人、同僚から愛され認められることが必要である。
  すべての人に愛され認められることは不可能です。たとえ好意をもってくれていた人でも、何かのきっかけで離れていくこともあります。この考え方は、我々を不幸にしてしまう代表的なもののひとつなのです。

2)競争には勝たねばならないし、やり始めたことはやりとげなければならない。
  この考えは完璧な自分を求めます。しかし、完璧な人などはいないのですから、自分を責めたり、自信の喪失につながります。また、家族や友人にも同様の厳しい基準をあてはめて、その関係を悪化させますし、その矛先が自分の子供に向かうような場合には、ACを作り上げてしまうかもしれないのです。そして、失敗を恐れるあまり新しいことにチャレンジするのが恐くなってしまうかも知れません。

3)世の中には邪悪な人がいる。そんな人間は罰せられなければならない。
  罰せられるのは邪悪な人ではなく、反社会的な行為なのです。世の中には、反社会的な行動をする人もいますが、その罪の重さを知る機会を持つことが出来なかたのでないでしょうか。その機会が与えられ、行動を改めることが出来ることこそ、望ましいものだと思うのです。

4)物事が間違ったやりかたで行われたり、自分の思い通りにならないと我慢出来ない。
  子供によく見られる考え方で、甘やかされて育てられた子供に多く見られる特徴です。自分の思い通りにならないと直ぐに機嫌を悪くして、文句を言い始めてしまいます。人生は思い通りにならないことが多いものです。大人がこのような考え方をしていると、ストレスから逃れることは出来なくなってしまいます。

5)現実の出来事が人の悩みや苦しみを生み出し、感情はそれに反応しているにすぎない。
  現実の出来事が悩みや苦しみを生み出すのであれば、幸せに暮らすためにには、他人の行為を含む現実の出来事を、自分でコントロールしなくてはならず、不可能なことになってしまいます。しかし、人の悩みや苦しみの多くは、自分自身の考えや行動から生み出されているのです。現実の出来事に対する解釈が、自分自身の感情を決定するのです。
  思い出してみて下さい、あれだけ思い悩み苦しんだ多くのことが、実は自分がお酒を飲むことにより作り出してしまっていたことを。体の調子が悪くなってしまったのも、家族とのコミュニケーションが気まずいものとなってしまったのも、その多くの原因がお酒を飲んだことであったことを。そして、その根底には酒に囚われた心が物事の見方をゆがめ、次々と不満の元を作り出していたのです。

6)よく知らないことや不確実なこと、少しでも危険性のある出来事に対して、恐怖や不安を感じるのは当然だ。
  この考え方を持っていると、自動的に不安を感じるようになってしまいます。先取り不安が生まれ、頑張って不安のシナリオを組み立て、不安を感じ始めると、それをそれをリプレーするようになってしまうのではないでしょうか。恐怖の感情との付き合い方が上手くなれば、少々危険な状況でも冷静に「これも貴重な経験だ」と考える余裕を持つことが出来るようになるのです。
  間違ってはいけないのは、よく知らないことを知る努力、危険回避のための対策をとることは、恐怖や不安を解消する有効な手段であり大切なことなのですが、それに気をとられすぎて完璧な準備をしなければと考えてしまうと、不安の原因になってしまうのです。

7)困難な状況や責任には、立ち向かうより避けたほうがよい。
  責任回避、そして今始めた方がいいことを後回しにする。毎日のようにお酒を止めようと思いながら、そう明日は止めることにして今日はいいじゃないか。そんな飲んでいた頃の言い訳を思い出してしまう考え方だと思いませんか。アル症者であれば、お酒を飲むための言い訳は、山のように作り上げた経験があるはずです。等身大の自分を見失って、無理なことや、本来自分の問題ではないことまで取り込む必要はありませんが、今の自分に課せられた問題には立ち向かってこそ、回復の道を歩んでいるんだって実感を得ることが出来るように、私は思っております。

8)自分より強く大きな何かに頼りたい。
  ここで言う強い大きな何かとは、何かの権威であったり権力者のことです。自分よりも圧倒的に強く大きなもの、それ(あるいはその人)に依存してしまっては、自分自身の判断や自分が何をしたいのかが判らなくなってしまう可能性があるのです。私はよく、人の意見は尊重し、自分の意見は大切にすると言っているのですが、自他の区別とともに、自分が独立した人間であることを認識することは、大切なことだと思います。ハイヤーパワーは、自分より強く大きな何かであると思います。しかし、ハイヤーパワーにはお任せするのであり、頼ってしまうこととは大きく異なるのだと、私は思っています。

9)過去の出来事が、現在を決定している。
  酒を飲み、酒に囚われ、繰り返してしまった酒害。それを忘れることは出来ませんし、忘れてはいけないものであると思っています。しかし、その過去に囚われ無くともよいのだと思います。断酒していれば、お酒に飲まれているときとは大きく異なるのです。自分に課せられた役割を果たすことが出来るのです。
  どうせ私はあんなことをしてしまった人間だ、皆から見放されてしまっているなんて考えてはいけません。過去の失敗は、反省して二度と繰り返さなければよいのです。やがて、過去の過ちを償うチャンスがめぐってきます。そのチャンスを逃すことなく、償いを続ければよいのです。過去のことを気に病むよりも、過去から学ぶことの方が大切なのです。

10)自分から何かをせず、怠惰に暮らしていても、幸せになることは可能だ。
  アル症は心の病。心の病の中には、その治療期間中何もせず一見怠惰に暮らす必要がある場合が有ります。しかし、その期間は治療に必要な期間であり、決して怠惰に暮らしているのではありません。治療をしているのです。
  何か勘違いして、怠惰に暮らしていても幸せになれると考えている人が居るとすれば、それはとても不幸なことです。人の幸せとは、その人の人生の目的に近づいていくことなのですから。




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