少量のお酒で、アルコール依存症になることはありません。又、一気飲みで表れるような急性アルコール中毒と、アルコール依存症は異なります。アルコール依存症は放置していると症状が進行していく慢性の病なのです。
依存症と言う言葉が表すように、アルコールは麻薬と同じような依存を形成する薬物なのです。この薬物による依存形性の強度を比較すると、下表のようになります。これは、「アルコール依存の生物学」という本に記載されているもので、残念ながら私はアルコール依存症になってから知りました。少量の飲酒では依存を形成することは無いとはいえ、一度依存を形成すると、その魔力から逃れることが困難な、強力な薬物であるとは知らずに、毎日毎日お酒を飲んでいました。
名 称 | 中枢作用 | 精神的依存 | 身体的依存 | 耐 性 |
---|---|---|---|---|
ヘロイン | 抑制 | 非常に強い | 非常に強い | 非常に強い |
アルコール | 抑制 | 強い | 非常に強い | 強い |
コカイン | 興奮 | 非常に強い | 無 | 無 |
マリファナ | 抑制 | 有 | 無 | 有 |
覚せい剤 | 興奮 | 非常に強い | 無 | 強い |
カート | 興奮(?) | 強い | 無 | 無(?) |
LSD | 興奮 | 有 | 無 | 強い |
お酒を止めることの困難さは、手軽に入手できることにもその原因があります。ヘロインや覚せい剤等他の薬物は、それを乱用すれば犯罪であり、それは正規のルートでは一般人には入手出来ないものなのです。覚せい剤やコカインより、はるかに依存性の強い薬物「アルコール」は、自動販売機で簡単に入手することが出来るのです。これは、一度依存を形成してしまった人にとって、毎日その覚悟を試され続けているようなものなのです。お酒を止めようと思っても、止めることが出来ない、その落とし穴が町じゅうに溢れているのです。
お酒を止めるには、その落とし穴を回避する必要があります。それには、医療や自助グループに救いの手を求めてください。病気から回復するため、医療の助けを借りる、恥ずかしいことではありません。自助グループは、同じ病気の人の集まりです。心を開くことが出来れば、同じ病気の人の言葉は、酒を断つのに大きな支えとなります。