「慈悲深い殺人のパラドクス」という問題があります。
あなたは仕事で人を殺さなければなりません。
銃殺刑で、銃弾には毒が塗ってあるため
かすっただけでも死に至りますが、
その場合は死ぬよりも辛いような苦しみが数時間続くことになります。
急所を打ち抜けば、即死させられることでしょう。
この場合、適当に撃って苦しみを与えるよりも、
なるべく苦しみを長引かせないよう即死させることが
一般的な善といえるでしょう。
ここで単純に論理的に考えれば、
即死させる−「ひと思いに殺す」ことが善であるならば、
「殺す」ことも善でなければなりません。
なぜなら、「殺す」ことなしに「ひと思いに殺す」ことは
決してできないのですから。
では、「殺す」ことは善なのでしょうか?
違うとすれば、論理の問題点はどこでしょうか。