どれも主観が入った怪しい証明ではありますが、
はっきりと正しくないのは実は B だけです。
何故なら、「大きくない」という性質は、k と k+1 を区別するための
本質に関わっているからです。たかが 1 の差であれ、k と k+1 が
それぞれ意味する「大きくない」という言葉は同一ではありません。
微妙に異なっているのです。
言葉の意味が微妙に異なる以上、数学的帰納法は使えません。
というわけで、B ははっきりと「正しくない証明」なのです。
では A と C はどうかというと、それぞれ(1)と(2)が正しくさえあれば、
証明として成り立つことは可能です。「美しい」「私が好む」は
k と k+1 を区別する本質とは無関係に成り立ちうるからです。