虚構世界ということについて、例えばコンピュータによる
擬似生命体のシミュレーションを考えてみましょう。
現在の技術ではせいぜい一定のルール(もしくは単純な擬似性格)
を擬似生命体に与えて、その活動や繁栄・衰退を見るという
程度かと思われます。
しかしこの研究が進み、コンピュータの中で人間と同等の
性質・知性・感情・生命を持った擬似生命体とその自立活動世界を
シミュレートできたとします。その世界は非常にリアルで、
もちろん擬似生命体は自分の存在が虚構であるとは
思ってもいません。
このような虚構世界が様々な場所で創られていたとすると、
擬似生命の数は、「本物の人」の数よりはるかに多くなることでしょう。
さて、そうなった場合、ここにいる自分が擬似生命である確率は、
そうでない確率よりはるかに高くなるのがお分かりでしょうか。
このように、非常にリアルなシミュレーションが行えるような
環境が構築できる状況になれば、自分が虚構の存在である
確率は飛躍的に高くなるのです。