Out of standard #03
トンネルを抜けると…
<attension! 不気味な話が含まれています。その手の話が苦手な方はご遠慮下さい。>

実家の友人であるK、Tと3人で長野へドライブに行った時の話です。
新潟から長野市内へは車で約2時間強。
深夜だったので車も少なく、道程は実に快適に進んでおりました。
しかし、新潟から長野へは幾つも山を越えていかないといけないため、
つまり、ほとんどの道が山道なわけです。
油断して速度を上げると、夜間ということもあるので大事故につながりかねない…
運転担当のKにも注意を促しつつ、出かけた深夜の1時過ぎ。

まぁ、いくら暇だとはいえ、男3人で深夜に突然、目的もなくドライブをしに行く
という事自体が怪奇といえば怪奇なんですが。

好きな洋楽をかけながら友人らと車内で大合唱したり、
好きな話題で盛り上がったり、
色恋話に花を咲かせたり、
ドライブインでカップラーメンを豪快にすすったり、

うん。充分不気味だわ。
ていうか、可哀想だ。この3人。


まぁ、当の本人らは楽しくドライブをしてたわけなんですが、
長野県に入った山中、山道なのでトンネルが多い所で
前後に車の姿は無く、時刻は深夜3時過ぎ…。
20メートル程の短いトンネルを抜けるあたり、
私と運転手のKは違和感を感じる風景を通り過ぎた。


   K  「…見た?」

  DS 「…見た。」

   K  「何か変じゃなかった?」

  DS 「…変だったね。」

   K  「なんでこんな夜中に…」

  DS 「人気の無い山中で…」

   K  「女の子が遊んでるの?」

  DS 「俺に聞くなよ。」

   K  「凄く楽しそうに遊んでた様に見えたけど」

  DS 「笑顔だったよね」

   K  「けど…」

  DS 「うん」






   K  「首がゆがんでたよね?

  DS 「斜めにね。」


   K  「頭も長かったような…」

  DS 「細長かったね。」


それからしばらく走ってからだった。
ヘッドライトにかすめて、道端に真新しい花束が添えられているのを見たのは。

   K  「…戻ろうか?」

  DS 「マジすか。」

   K  「だって…人間だったら、深夜のこんな山奥に一人は危ないよ。」

  DS 「人間だったら、って何。人間だったらって。」

   K  「この先に避難帯があるから、Uターンするね。」

  DS 「本気ですか。」


その後Uターンして、女の子「らしき」人影を見たあたりで車を停め、
しばらく付近を探し回ったのですが結局見つからず。

…それがすなわち幽霊だった、とは思わないのですが、
目の錯覚にしてはあまりにもはっきりと見えすぎたので、大変怖かった印象があります。
今思い返してみると…う〜ん、人…だったのかなぁ。

そんなプチ・パニックの間にも、後部座席で大いびきをかいて寝ていたTを見た時、
「幽霊は、見る人にしか見えない」
という言葉を思い出しました。

出来れば私も、見たくない。