Out of standard #09
コックリさん協奏曲

流行りましたよ、僕らの中学にも。コックリさん。
地方によって『キューピットさん』やら『権現さん』やら呼び方が違うみたいですけど。
まぁ、中身に大差は無いんでしょう。
やっぱり舞台は放課後…
夕日に照らされた人気の無い校舎内…
誰もいない教室…
集まるバカ中学生…

 バカ1(DS) 「…いいか?始めるぞ…」

 
バカ2 「お、おう。」

 
バカ3 「絶対途中で手、離すなよ!」

 
バカ4 「分かってるって。 途中で離したら呪われるんだよな。」

集まった4匹のバカ。
私たちは10円玉を文字盤の上に置き、
そこへ4人が人差し指を乗せるという方法でコックリさんを始めた。

 
バカ3 「コックリさん、コックリさん。おいでくださいましたら
      文字盤の『はい』へ動いてください。」

口癖が
 「あー、霊感ビシビシ感じるぜー。」
の、自称霊能力者・バカ3がリード役を務める。

 バカ3 「近い…近いぜ。」

  DS  「何が近い? コックリさん?」

 バカ3 「いや…まだ分からん。でも違う奴が来たら厄介な事になるぜ。」

  DS   「厄介なの?」

 バカ3 「あぁ、素直なコックリさんと違って、他の連中は凶暴な奴が多いからな。」

まるでコックリさんと飲み仲間のような口ぶりで、コックリさんの人となりを語る
「あー、霊感ビシビシ感じるぜー。」の自称霊能力者バカ3。

そして半信半疑だった僕の目の前で…遂に10円玉が動いた!!

 バカ2 「うわぁぁ!動いてる!動いてるよ!」

 バカ4 「気持ち悪いー!」

 バカ3 「…ふぅ、何とかコックリさんを連れてこれたぜ…」


「お前が連れてきたんかい!」

とつっこもうと思ったが、そんな空気でもなかったので黙っとく賢明な私。
…でも確かに十円玉が動いてる。凄く不思議。

 バカ2 「貴方はコックリさんですか?」

質問に対して、ゆっくりと文字盤を滑る10円玉。
「はい」の方へ動いてゆく…

 バカ4 「これ、誰かが動かしてるんじゃね―よな?」

なるほど、そういう手もあるのだな。と思った私は、
事の真相を確かめたい欲求にかられて、おもむろに10円玉に乗せている指に力を入れて抑えてみた…。




一人だけ、10円玉から指が滑って「はい」の方へ離れた
「あー、霊感ビシビシ感じるぜー。」こと、自称霊能力者・バカ3。

 バカ2 「なんだよ、お前が動かしてたのか。」

慌てて指を戻す「霊感ビシビシ感じるぜ」。もう遅いって。

「俺の指をコックリさんが動かしてたんだぜ。」

と慌てて弁解するも、「じゃあ、お前がコックリさんなんだな。」という結論で収まり、
次の日から「コックリさん」というあだ名で第二の学生時代を過ごしたという、お話。