Out of standard #15
サインをねらえ!

プロレス大好きです。
最近は真剣勝負の格闘技、いわゆる『ガチンコ』が何かと話題ですが、
「エンターテインメントの帝王」、「キング・オブ・スポーツ」の異名はダテではありません。
一度はまると抜け出せない魅力で一杯。

その手のプロレス談義はまたの機会にさせてもらうとして、
今回の話は、中学の時に地元に『新日本プロレス』が興行にきた時の話。
実家のある新潟県は、言うても田舎です。
町を歩いてて有名人と出くわす可能性は限りなくゼロに近いです。
まぁ、「町の有名人」はワラワラといますけど。

で、町じゅうに張られた
 「新日本プロレス、新潟に見参!」
のポスター。

早速パクりました。(注:犯罪です。)

町中がちょっぴりソワソワ。こういったイベントが少ない田舎ですから仕方ないんですけど。
ましてや、中学生の男子でプロレス知らないヤツは皆無でしたからね、私らの中学。

 プロレスバカ1    「おい、サイン貰おうぜ!」

 プロレスバカ2(DS) 「でも、チャンスあるか?」

 プロレスバカ1    「だからぁ、控え室に行くんだよ。」

 プロレスバカ2    「え?! それはマズイだろ…」

 プロレスバカ1    「大丈夫だって。」

 プロレスバカ2    「控え室、行けないようになってるんじゃねーの?」

 プロレスバカ1    「会場、地元の総合体育館だろ? 抜け道はいくらでも知ってるって。」

で、決行。 僕、本当にバカなのかも。

 バカ1 「ここの用具室から出れば、控え室がある通路に出るハズ…」

 DS   「お前、誰のサイン欲しいの?」

 バカ1 「決まってるだろ、ドラゴン藤波だよ。」

 DS   「お前…渋いね。」

 バカ1 「お前は?」

 DS   「越中。」

 バカ1 「お前の方が渋いだろ。」

…なんて会話を交わしつつ、用具室を出る。
控え室のある通路に出たはいいが、目の前にはロープが張られて「関係者以外立ち入り禁止」の文字。

 DS   「あら、ここもダメだ。」

 バカ1 「くそ…。  でも、誰もいない…ようですなぁ。」

彼が「〜ようですなぁ」口調になった時は、ろくでもない事を思いついた証拠。

 バカ1 「いくぞ。」

 DS   「うそ?! ここで待って、レスラーが通りかかったときに声かければいいじゃん。」

 バカ1 「待てねぇ。」

なんてせっかちなんだろう、と思ったのもつかの間、ロープを跨ぎだすバカ1。

「見てたの?」ってくらいタイミング良く出てきたスコット・ノートン。(←めちゃマッスルな外国人レスラー。超デカイ。)

ロープを跨いでるバカ1に気が付くノートン。

凄い形相でコチラへ走ってくるノートン。

なんか叫んでるけど、英語が分からない僕とバカ。

逃げようと態勢を変える私。

背後で聞こえる友人の声



「ギブ・ミー・
フジナミサイン! プリーズ!」





ノートン相手に、しかも形相からして明らかに不機嫌そうなノートンに、
藤波のサインを頼める神経が凄い。
私なら、ウソでも「貴方の大ファンです!」っていう演技するのに…。

その後は、呼ばれた係員(下積みの若手選手?)にこってり絞られました。

プロレスバカは死ななきゃ治らない。