Out of standard #45
主婦の知恵改造論

主婦の知恵。
いわゆる「アイディアグッズ」ってヤツ。

ダイエット効果があるとかいう、

 「かかと部分がカットされてるスリッパ」

を考えて、年商ウン億円。

洗濯機の中に入れておけば、かってに綿くずを集めてくれるという、

 「綿くずを集めてくれる網状の何か」

を考えて、年商ウン億円。

もはや、商品名やら詳しい説明やらを調べる気にもならない羨ましさだけども。


主婦の知恵ってのは、チョットした工夫で
大変役に立つアイディア商品を指して言うんだけど、
ちょっと待て、と。
まるで主婦が、そういう庶民的な発想しかできないようにモノぬかすな、と。
主婦の知恵ってそんなショボいもんじゃねえ、と。
ワタシらの脳細胞は家事洗濯だけに活性してる訳じゃねえ、と。

拳をあげて立ち上がらんかい、主婦よ。


以前、日本でソープランドの事を「トルコ風呂」と呼んでいたことに対して
トルコの青年有志が

 トルコが性風俗の聖地(性だけにね。)のように誤解されては困る。

と、拳をあげて立ち上がったのは有名な話。
(性だけにね。)という部分は嘘だけど。


「ダッチワイフ」という名称についても、オランダ人(Dutch)が

 ワシらの嫁はみんな口開けて変な髪型しとるんかい。

と拳をあげて立ち上がり、ダッチワイフという名称も禁止される方向だ。
もちろん、オランダ人のセリフ部分は全部オイラの想像だけど。


そう。イメージ先行で物事の本質を無視したまま定着させてしまうのは
日本人の昔からの悪い癖。
「限定商品」「閉店セール」「ダイエット」「完全無修正」等々、
言葉のイメージだけに惑わされて本質を見抜けず、何度同じ過ちを犯すのか。

そういう大きな意味でも、ぜひ主婦には立ち上がって欲しい。


主婦の知恵から生まれたアイディア商品! と銘打ってるのに

 タイムマシーン

がさりげなく店頭に並ぶくらいのインパクトを。


ジャスコの2階、家庭用品コ−ナーの一角とかによくある、
主婦の知恵から生まれたアイディア商品だの
どっかの伊東家の商品だとかが並ぶ中、
普通に置いてあるタイムマシーン。

1万円くらいで。


天才物理学者ホーキンスでさえ、長年かけて仮説を立てては矛盾に苦しみ、

 タイムマシーンは無理です

と音を上げたものを、東京都板橋区あたりの主婦がポロンと発明。


全世界で同時中継される『タイムマシーン発表会』で、
司会者から「タイムマシーンを発明したきっかけ」を聞かれた時も

 「雨の日に洗濯物が乾かない時、フと思ったんです。
  先週まではずっと晴れてたのに、って。
  それからですね。作ってみようと思ったのは。」

とか飄々とスピーチ。

もちろん、格好はエプロン姿で。
右手にはリサイクル用の牛乳パック満載のビニール袋を持ったままで。

いかにも「家を出てそのまま来ました。帰りにスーパー寄っていきます。」的に。


タイムマシーンの構造やらを、会場の大スクリーンに写して説明する段になって

 「いけないっ! お鍋に火かけっぱなしだったかもっ!」

って言って急遽帰宅。


会場の人全員から

 「タイムマシーンで戻ればいいじゃん!」

って突っ込まれるような発表会。




その年以来、「主婦の知恵」という言葉は

 「主婦の智慧」

に表記がグレードアップ。
主婦の地位向上に一役買う結果に。




結局、どんなに凄い発明をしようとも
きっかけは身近な便利性追求なんだろうね。

電話だって車だって、ね。

 

 

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